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大規模DXプロジェクトのジレンマ

こんにちわ、PGMOのKです。

ここでいうDXプロジェクトは『大企業が数億円をかけてリプレイスする基幹システムリプレイス』を指します。

多くの大規模プロジェクトに参画してきた経験から、躓きやすい構造が二つあります。


PMは身内でなければ

経営層は基幹システムリプレイスプロジェクトの責任者の大役を、将来のIT部門をリードする課長クラスに委ねるケースが多いようです。

 

SAP各バージョンのリリース~保守切れまでの期間は15年程度。開発に3年をかけても、1新基幹システムを12年間運用保守していくことになります。IT部門の部長クラスではシステム稼働中にリタイヤするリスクが付きまとうのです。

 

この難易度の高い、基幹システムリプレイスを見事に軟着陸させることができれば、将来のIT部門部長の席が用意されるのは暗黙の了解です。

 

当然、課長の肩にも力が入ります。 当然、課長はプロジェクトマネージャーという大役が仰せつかることになります。


残念ながらプロパーPMは素人

基幹システムリプレイスは、例えるなら家を建てる、買い替える、大規模リフォームをするといった、人生で数回経験するかしないかのビッグイベントです。

 

しかし、IT部門課長だからといってPMBOKに精通しPMPを取得していたり、大手コンサルファーム出身だったり、大型プロジェクトの運転を委ねるべきプロのドライバーである確率は非常に低いのです。

 

いわば素人PMに経営層は数億円のプロジェクト推進を委ねているわけです。このプロジェクトの運命は課長の知見ではなく人間性に依存します。

 

IF 平身低頭で柔和、わからないことを素直に質問できるタイプ

外部から招いたPMOに計画策定や品質/リスク/進捗管理等を委ね、自身は最終判断主体に徹する

IF PMO=有能

プロジェクトは蒼き聖上の地へ!

ELSE

IF PMがPMOのOUTPUTの漏れ/不足/不整合やパフォーマンス不足を検知できた

PMO交代 GoTo Startへ

ELSE

PJはグダグダ

END IF

ELSE

外部から招いたPMOを事務局要員として会議調整や雑務にのみ利用

PMOのパフォーマンスに関係なく、素人PMが方針や計画やを決める

外注要員への人事権やベンダー契約の決裁権を武器に非合理的判断を恫喝的に押し通す

不都合な事案をステコミにエスカレーションしない

PJはグダグダ

END IF

 


回答:PMも外注要員で

経営層の見積や予算承認など外注要員に銭勘定を見せたくないというマインドも理解できます。しかし、その代償が免許取り立ての新人ドライバーに大型トラックを運転させるリスクテイクであってよいのでしょうか?

解決策は

 

PMも外注コンサルタントに委ねる

 

に違いありません。ただし、

  • PMの上位にPLを設置し、最終判断や上位報告担当するPJ最終責任者とする
  • PM/PMOは利益造反とならないよう開発ベンダーと関係しない別会社から調達する
  • PM/PMOには銭金関連も開示するがセキュリティーレベルでアクセスできる情報に制限をかける
  • PMはプロジェクトを管理するがリリース後には退任する前提で、PLは新システム/仕様への理解を深め、各ドキュメント類の管理責任も役割とする

これが正解です。

経営層の

『やっぱりPMは社員でなければ』

の古臭い考えは捨てるべきです。

 

プロジェクトが傾きやすい構造の二つ目は次回。

 

Guadian DX は開発工程毎の外部レビューでプロジェクト品質を改善し、後続工程のリスクを極小化します。